溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
24話「カプセル」





   24話「カプセル」




 キーケースに入っている2つの鍵。
 同じ銀色のはずなのに、片方は宝石のように輝いて見える。風香だけかもしれないけれど、それでもとても綺麗だ。

 風香が同棲したいと伝えると、柊はとても喜んでくれた。飛び付くように彼に抱きしめられ、彼を感じられて「これが正解だったんだ」と思えた。

 その次の日から、風香は引っ越しの準備をする事になった。その手伝いに、美鈴も手伝ってくれていた。


 「本当に大丈夫?柊さん、記憶が戻ってないから心配だなー」
 「大丈夫だよ。もう、美鈴は心配性なんだから」


 片付けをするつもりが、2人が集まると結局は話しに夢中になってしまうので、先ほどから手が止まってしまっていた。すぐにでも引っ越しをしなければいけないわけではないため、今日は風香はお菓子やコーヒーを出してまったりする事にした。


 「私と居る時間が多ければ思い出してくれる事も多いかもしれないでしょ?」
 「まぁ、そうだけど………。けど、1番は同棲が嬉しいんでしょ?この間の誕生日では、2人は仲良くやってたみたいだよ」
 「………美鈴………」


 美鈴には隠し事など出来ないな。そう思いながらも、バレていた事に風香はつい頬を染めてしまう。「いい大人なのに照れちゃうんだから」とからかわれてしまう。
 けれど、ニヤニヤした顔もすぐに真剣なものに変わった。


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