溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を




 「それにしても、宝石は大丈夫?今の柊さんには見せちゃだめだよ」
 「………それは大丈夫だよ」
 「そっか。今はどこにあるの?また今度見せてよ」
 「今はここにはないの。だから、また今度見せるね」


 祖母から貰ったガーネットのネックレス。美鈴は本当に宝石が見たかったようでガッカリしていた。やはり女の子はキラキラしたものが好きだな、と風香は思った。


 「そう言えば、何をプレゼントして貰ったの~?」
 「んーと……ドレスと靴とバックと……あと夕食を食べに行ったよ。キーケースも貰ったの?」
 「ドレス?!それを着てディナーにって、セレブみたいじゃない!すごーい。ねぇ、その写真ないの?見たい!」
 「あるけど………恥ずかしいよ……」
 「いいから見せなさい!!」


 同性の友達と過ごす時間は、恋人とは違った心地よさがある。
 思いきり笑えて、そして恋の相談も出来る。そして、愚痴だって言える。
 今の自分は彼女に支えられているのだなと思った。


 「美鈴も何か困ったことがあったら言ってね」
 「え……どうしたの?突然?」
 「なんか、私は美鈴に助けられてばかりだなって思ったから。だから、いつかは恩返しさせてね」
 「気にしなくていいのにー。私は大丈夫だから」


 ニッコリと微笑み「私に任せなさい」と堂々と言える彼女を誇らしく思いながら、風香はいつかは彼女に旅行に誘おう。そう、決めてたのだった。






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