溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
「あ、でも大丈夫だよ。もう頭痛はないし。寝たら元気になったの。だから、そんなに心配しないで………」
「………っっ………」
柊は気づくと、彼女の体を強く抱きしめていた。華奢な体と冷たくなった体温。それなのに、少しばかり痩せてしまっただろうか。けれど、無理もない。いろんな事が自分よりも小さな体の彼女にふりかかっているのだから。
「柊さん……?どうしたの?私は大丈夫だよ」
「ごめん……ごめんね」
「………何で、柊さんが謝るの………」
「俺のせい、だから………」
情けないが思わず泣きそうな声が出てしまった。
後悔しても遅いというのに。
彼女に謝る事しか出来ない。
抱きしめていた風香が、柊の声がいつもと違うとわかったのか、顔を上げようとした。
弱々しい自分を愛しい彼女に見られるのが恥ずかしく、柊は風香にキスをした。
時間があれば彼女に触れていたい。感じていたいと思ってしまう。それなのに、彼女が倒れたのを見た瞬間に今までの努力を放り投げて彼女を守りたいと思った。
けれど、それは出来ないのだ。