溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
「あー?震えてる。そんな怖がんなよ。痛いことはしないさ。まぁー、俺たちは、ね」
「……………」
「怖がって声を出ないなんて、可愛いねー」
金色に髪を染め、青色のカラコンをした若い男はニヤニヤと風香を見つめながらそう言った。
彼の言った通り、風香は恐怖から声が出なかった。けれど、そこで気づいたことがあった。この部屋には、風香と金髪の男しかいないのだ。
「さて、雇い主さんを呼んでくるか……楽しみはそれから、だ」
「あ、あの…………もう一人の女の子は?」
「あぁ?ははっ!安心しろ、ここに居るさ」
勇気を出して紡いだ言葉はとても小さいものだった。けれど、美鈴の無事を知りたかったのだ。彼女もここにいるとなると、違う部屋に監禁されているのだろうか。きっと、彼女も怖がっているだろう。
男はそう言うといやらしい笑みだけを残して部屋から出ていった。部屋に一人きりになっても、恐ろしい状況には代わりわない。
何故、自分が誘拐され監禁されているのか。
理解が出来ないのだ。