溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を





   ★★★





 「マル被Aが動いたぞ!」
 「よし、行くぞっ!」



 張り込みをしていた部下から連絡があり、柊はすぐに立ち上がった。
 マル被Aとは久遠美鈴。柊が追っていた人物だった。
 それが行動したのをやっと確認出来たのだ。
 

 「まだ人を集めている段階なので、待機しててくれ」
 「はいっ」
 「青海は、高緑さんの所へ。作戦通りに頼むぞ」
 「わかりました」


 柊は上官の指示に返事をして、急いで帰宅した。

 やっとこの日が来たのだ。
 けれど、これで失敗すれば彼女を心身ともに傷つけることになるかもしれないのだ。
 成功したとしても彼女を泣かせる事にはなってしまう。けれど、それでも柊はこの作戦をどうしても成功させたかったのだ。


 風香の想いと苦しみを無駄にするわけにはならないのだから。




 「ごめんね………風香。今日で君を悲しませて泣かせるのは最後にするよ」


 柊は一人呟くと、何も知らずに自分の部屋に居るはずの風香の元に急いだのだった。



 

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