溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
部屋に戻ると、柊は風香の着替えを準備したり風呂を沸かしたりしてくれた。
そして、風香を無理矢理リビングのソファに座られた。
「風香ちゃんは座ってていいから。ご飯食べる?」
「………ううん。今はいらない。今は柊さんと話しがしたい」
「今は疲れてるんだ。あんなことがあったんだから、ゆっくり寝て明日話そう」
「そんな………!そんなの無理だよ。頭の中はぐじゃぐじゃで気になって寝れないよ」
「………でも話すと長くなる。風香ちゃんは気づいてないかもしれないけど、目の下のくまがすごいし、顔色も悪いよ。そんな君に話せることはないよ」
「……………」
確かに風香の体調は万全とは言えなかった。
先ほどから頭は痛いし、少し朦朧とする。けれど、考えなければいけないとすると、先ほどの美鈴の怒った顔、そして最後の横顔が頭から離れなくなるのだ。何とも言えない、切なく悲しい気持ちに襲われ胸が苦しくなるのだ。先ほど泣きすぎるぐらい泣いてしまったというのに。
そんな風香の心や体の変化を柊は十分にわかってくれているのだ。
自分より自分の体を心配してくれている。
「………でも、1つだけ今伝えておくよ」
「………ぇ………」
「風香ちゃんが無事でよかった。全て守れなくて、ごめん………」
柊は自分の不甲斐なさに怒っているのか、苦しんでいるのか、顔を歪めながらそう言った。