溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を




 いつもは彼に抱きしめられているけれど、今は逆の立場になっている。お互いに少し気恥ずかしい気持ちになるけれど、それでも「大丈夫だよ」と伝えられるのは、この方法が1番いいと風香はよく知っていた。
 それと、こんなに強くて頼りがいのある彼だけれど、風香は彼を守りたいと、強く思った。

 その時にフッとまた頭の中に何かの映像が映った。夜の街に風香が一人で歩いているところだった。風香はそれが何なのか少しずつわかり始めている。けれど、思い出しそうになると、それが消えてしまうのだ。

 けれど、それはきっと「守りたい」という気持ちが呼び起こしたものだと風香は感じていた。


 「私も柊さんを守りたい。だから、守ってくれてありがとう。2人で守り合えるといいな………」
 「あぁ。そうだな」


 深く頷いた柊は、風香の腰に手を回してくれる。お互いに抱きしめ合う。

 体温を感じ合う。それが1番心地いい。


 そんな事を風香は改めて実感したのだった。


 


 
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