溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を




   ★☆★






 美鈴は警察により重要人物としてマークの対象になっていた。
 売春や薬の売買、脅しの依頼の引き受けなど、犯罪行為が目立っていたのだ。
 けれど、彼女は頭の回転が早いのか、勘が働くタイプなのか、警察が捜査に入ろうとすると、すぐに居場所を隠したり、逃げたりしていた。部下や客などは逮捕されても、美鈴の事を話そうとする人はいなかったのだ。
 それだけ怖れられていたのか、大切にされていたのかはわからないが。

 柊はその組織の捜査を兼ねてから行っていた。美鈴の知り合いだと知ってはいたものの、彼女がショックを受けるのは目に見えていたので、それを隠してしまっていた。風香と美鈴は友達のように見えていたが、けれど柊達はいつ風香にその手が忍び寄るのかと不安で仕方がなかったのだ。

 その理由は、美鈴が「友達の宝石を取るつもりだから、それでお金を返す」と契約した会社に話しているという情報が柊の耳に入っていたからだった。

 けれど、なかなか上手くいかずに風香の元から宝石がなくなる事はなかった。
 それに、柊と付き合い始めてからというものの、警察官であるとい事から美鈴も警戒しているようだった。




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