溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を




 「柊さん、それって………」


 柊の手には、小さな花の鉢植えがあった。
 小さく可憐な白い花が風香を出迎えてくれたのだ。中央には黄色、白い花びらは八重咲きになっており、小さいながらに豪華さもあった。


 「風香ちゃんにプレゼントしたいと思って」
 「あ、ありがとうございます……すごい可愛いお花ですね」


 風香は柊から白い鉢を受け取り、目の前の花を見つめる。華からみずみずしい花の香りも感じられ、一気に幸せな気持ちになる。花にはそんな力があるなと思った。
 柊は昔から何もない日に突然花束をプレゼントしてくれる事があった。馴染みの花屋があるようで、そこを通り気になる花を見つけると、買ってきてくれるのだった。


 「本当は花束の方がかっこつくんだろうけど……どうしてもこれがよくて」
 「鉢植えがよかったの?」
 「そう」


 柊は気恥ずかしそうにしながらも、風香が持っている花に触れる。そして、ゆっくりとこの花を選んでくれた理由を教えてくれた。




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