もう一度だけ、キミに逢いたい。

「で、でも…だったら鍵もかけておいた方が良かったんじゃない?もしかしたら、わたし以外の誰かが入ってきたかもしれないのに」


「だけど、鍵が開いてないとゆりが入れないだろ」


この教室は鍵をもらわないと入れないのは周知の事実だし、暗ければなおさら他の人は近づいてこないだろう。




「…どうして、わたしをここに呼び出したの?」


どうしてって……そんなの、




「……ゆりに会いたかったから」




ただ、それだけだ…


むしろ、それ以外の理由なんてない。




「……そう。でもここで何するの?それに、なんでこの場所にしたの?」


ゆりの瞳が一瞬揺れたような気がしたけど、ゆりはあくまでもいつも通りのトーンで話しながらゆっくりと俺の隣に腰を下ろした。


これには少しばかり驚いた。


それが顔に出ていたらしく、ゆりは不思議そうに首を傾げた。


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