もう一度だけ、キミに逢いたい。
* * *
“今日の放課後、四階の一番端の空き教室”
俺はそう一言だけ書いた紙切れを誰にも見られないように気をつけながらゆりの下駄箱に入れた。
ないとは思うが、万が一誰かに見られても相手が誰か分からないように名前は書かなかった。
でも、賢いゆりのことだ。
この文面を見ただけですぐに相手が俺だと分かってくれるだろう。
……ゆり、早く来ないかな。
壁に背を預けながらゆりの顔を思い浮かべていたちょうどその時、ガラッと教室の後ろのドアが開いた。
「……ゆり?」
「え……つ、月島くん……?こんな暗い中で何してたの?」
教室が暗いせいで、ゆりは一瞬俺がどこにいるのか分からなかったみたいで驚いた顔をしている。
「何って…ゆり待ってた。もし電気つけたら、誰かいるって分かるだろ?だからつけなかった」