もう一度だけ、キミに逢いたい。



【伊織side】


ピッ…ピッ…ピッ…




『ゆりちゃんがっっ……ゆりちゃんがっっ……、じこに…、あったってっっ……!!!』




規則的な機械の音が響くこの部屋で、意図せずとも何度も何度も蘇るあの時の光さんの声。




俺は初め、光さんのその言葉を理解すること
が出来なかった。


だって……まさか、ゆりが事故に遭うなんて嘘だろって。


そんなの、絶対に何かの間違いだって。


でも、現実はどこまでも残酷で、特別に先生に許可をもらって光さんと理事長と訪れた先の病院で見た光景に信じるほかなかった。


赤いランプのついた手術室から運ばれてきたのは、包帯がたくさん巻かれていて酸素マスクをしていたけど、間違いなくゆりで。


手術をしたとかいう医者がゆりの家族である光さんに運ばれた時の状況やゆりの容体について淡々と説明していくが、俺の耳には全く入ってこなかった。


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