もう一度だけ、キミに逢いたい。

『…これは、あくまで私の想像だけど。ゆりちゃんが7年もの間目を覚さなかったのは、ゆりちゃんがここまで成長するために必要な時間だったんじゃないかな……』


えっ……


思いもよらぬ光ちゃんの言葉に思わず目を見張る。




『さっき、伊織くんにちゃんと気持ちを伝えられたって聞いた時も成長したなって思ったけど、本当に強くなったねっ…。自分の気持ちに、相手の気持ちに、今まで起こった全ての出来事に、真正面から向き合えるようになってる……っ』




……そう、だね。


自分ではわたしは強くなった、とかそういう意識はなかったけれど、確かに起きてからわたしは誰に対してもずっと素のままだ。


7年前のあの時みたいに、光ちゃん以外の人に本当の自分を見せないように壁を作ったりなんてことは一切していないし、メガネだってかけていなくても、怖くなくなった。




……確かに、壁を乗り越えて強くなった証拠かもしれない。


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