もう一度だけ、キミに逢いたい。
「あれ?もしかして僕のこと忘れた?」
「い、いえ……忘れてないです」
「じゃあここで問題です。僕の名前はなんでしょう?フルネームで」
そう言う疾風さんは、少しいたずらっ子のような顔をしている。
だけど、わたしはそれに動じることなく冷静に答える。
「……東條 疾風 (とうじょう はやて) さん」
「お、正解!やっぱり記憶力いいんだね、すごい。会ったの結構前だし、普通だったら忘れてるのに」
……別にわたしだって覚えていたくて覚えてるわけじゃない。
わたしは基本、人の名前は覚えない主義だけど、この人は光ちゃんの尊敬してる先輩らしいから。
なんとなく覚えておいた方がいいかなって思っただけで。