東京血風録3 キラーズ・コード【改編版】
伸びた腕の行方。
左腕達は、飛鳥がパンチで弾き飛ばした。
右腕達は、柊一の前面に浮かぶ護符の壁を破れず、その場で停止した。


遥の突きは。
摂津の胸に開いた穴に吸い込まれ、途中で止まっていた。正確には、小さな牙が生えたその顎に噛みつかれて止まっていた。
黒檀の木刀、伊號丸に牙による穴が穿かれた。
木刀を握る遥の右手に、剣鬼伊號丸の声の振動を感じる。
【なんじゃ、こんな筈なかろうがぁぁぁ!!!!】


遥も感じていた事を伊號丸が言うので、ゾッとした。
結界と六芒星陣、それに高揚感。
渾身で放った突きが、そこまで加速しなかったのだ。
それに伊號丸の言葉。
何が変なのは気がついた。
ただ、その理由がわからない。


伊號丸との会話は木刀を握っている限りダイレクトでスムーズである。
【何が変??】
【わからんか⁉︎感じるほど上がってないのじゃ!手応えはあるのじゃが伝達されてない感じ……】

その言葉は、左からの摂津の腕の1本の攻撃により遮られた。
剣を使えない為、左腕で受けた。
横殴りのフックは、肘に当たり関節特有の痛撃が走った。

柊一へと伸ばした腕は護符の壁で止められたが、その1本が戻ってきたのだ。
残り2本は、空に浮かぶ護符の1枚を器用に切り裂くと、その隙間から腕を差し込み柊一に襲いかかった。
顔面を狙った爪先を、護符の打破で受けたがそれを貫き、柊一の眼前スレスレで止めるのが精一杯だった。
恐るべき力である。

飛鳥は、パンチで退けた筈の腕がその反動を利用して戻って来て、裏拳の形で殴られ顔面の1撃は交わしたものの、肩を横腹に重い打撃を喰らい、悶絶した。片膝をついてだけで耐えたのはさすがである。




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