東京血風録3 キラーズ・コード【改編版】
真琴は、初対面であり急に腕が6本になった鬼の存在に焦っていた。
瞬時に攻撃された3人の陰に隠れていたので助かったが、柊一が攻撃されて動揺した。サポートに入るか躊躇した所に遥と柊一を襲った左腕の残り1本が襲って来た。


『亞軀斗(アクト)』
真琴は小柄で非力でもあった。
だが、龍王院家伝承の亞軀斗と呼ばれる体技を会得していた。
合気道の類であるが、向かってくる相手に対してその力を利用して、同じ力同じ速度で向かって来た方向へ返すものである。
遥と柊一の間を抜けて来たそれを、亞軀斗により捌いた。
殴りかかって来た腕は、真琴の両手の平に弾かれ逆側へ飛ばされていた。
御業の結界の境界線、岩の上部に当たる見えない壁に遮られバウンドした。
亞軀斗の弱点は、反発させた力と同様の力が自分に跳ね返って来る事である。
鬼による猛烈な力を跳ね返した事で、真琴の体は右側へすっ飛ばされていた。
摂津の打撃によりひざまづいていた飛鳥の体にぶつかって止まった。
鬼の圧倒的な力に、真琴は面食らっていた。


伊號丸同様の違和感を柊一も感じていた。自分の能力を過信していたわけではないが、此処に入ってからの高揚感と湧き上がる力に対して、噛み合ってない気がしていたのだ。通常でももう少し護符連陣の御加護がある筈だった。空回り。
もどかしさがあった。
何故だ?
そう考えながら、状況を把握する。
柊一も鬼と相対するのは初めてである。
これほど圧倒的なパワーがあるとは、正直思ってなかった。
この腕をどうにかしなければ。
護符の束に突き刺さった指は、ぶすりと燻っている。護符の力は効果ある。
止められた遥と飛鳥、そこにぶつかった真琴。さて、どうしたものか。
摂津の腕を自らの腕で弾き飛ばすと、新たな護符をカードのように開いた。






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