東京血風録3 キラーズ・コード【改編版】
柊一の護符は、彼オリジナルである。
梵字と数字の羅列は、それ自体で念を帯びていたし見えない伏線でそれを補強していた。文字を書いた炭には彼の血が練り込まれており、彼自身が使うことでその精度は更に高まっていた。

もともと奇術が好きで、手先が器用だったのでカードを使ったマジックが得意だった。その技術を活かして護符を飛ばし形づける事で、彼特有のスタイルを生み出したのである。

使う護符の枚数も桁違い、術式護符連陣の型も数百を数え、その用途と相手の力量に合わせて使い分けていた。
ただ、法力の容量に欠点があった。
数を使えば、それだけ法力の使用量が増える。それを補うだけの容量を持ち合わせてなかった。
通常の護符連陣で5回を使うのが限界であった。故に早期決戦が彼の闘い方のセオリーであった。
そしてテンション。
そんな自分を鼓舞するかの様に決まってテンションが高くなるのだが、今はなりを潜めている。
思ったようにパワーが上がらない、その違和感が原因だった。




龍王院真琴。
龍王院式庇護施術師範代。
庇護施術、RPGで言えばキュアとかヒールとか、体力を増やしたり傷を癒やしたりする事を生業としていた。
それに加えて、パワーを分け与えるサブ能力を持っていた。言わばバッテリーのような役割である。


京都鳳竜堂家。
奈良龍王院家。
この2代陰陽道家系の跡取りであり、家同士も古い繋がりな上に同い年、幼馴染である。


こと柊一のパワー不足は幼い頃から両家で露呈しており、1つの妙案が編み出されたのである。
柊一が赴く所には、真琴が帯同して柊一のサポートをする。
言わばバディである。


2人組となり、難所をこなしてきた。
関西では有名な除霊師コンビであった。




真琴は立ち上がると、大丈夫か?と飛鳥に声を掛けると、ふらふらと柊一の元へと歩み寄った。
柊一は憮然とした態度を解かず前を向いたまま、
「何かが狂ってる」
そう告げた。
真琴は何の反応もせず、柊一の背中側へ回り両手を組むと、小さく呪言を唱えた。その後、両手の平を柊一の背中へあてがった。


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