東京血風録3 キラーズ・コード【改編版】
遥が近づくと、おタカと源さんの瞳が潤んでいるのが分かった。
「遠ざかっていたんですね。大丈夫でしたか?終わりました」と、告げた。
源さんは、大粒の涙が溢れておいおい泣き出した。
「源さん……」
おタカが苦笑しながら、困ったものね。
遥に向き直り、
「お疲れ様でした、遥。お見事でした」
と言い、続いて
「よくぞ、成長しましたね」と、笑う。
「途中、霧華が来てましたね。顔色が悪くて、あんな無茶をするなんて。あの子は本当にもう…」
おタカも泣いていた。

「おばあちゃん、ありがとう」
遥が告げると、
「あなた達に逢えてよかったわ」
上遠野林田タカは背筋を伸ばした。
「御業の結界守り人現当主として言わねばなりません。王道遥、よく聞きなさい」真顔である。
「此処で待ってました。この日が来る事を。王道家を継ぐ者として、総ての結末を全うしなさい。それが使命です!」
高らかに宣言した。
遥には何が何やら解りはしなかったのだが。
「期待してますよ…」
その声に応えようと、おばあちゃんの顔を見ようと頭を上げると、おばあちゃんこと上遠野林田タカの姿は消えていた。
源さんは、くしゃくしゃの顔でその場にいた。
「おばあちゃんは?」
遥の問いに、やっとの声で、
「お、おタカ、おタカさんは」
絞り出し、
「もう、、とっくに、、、でもね、、、待って、たんです、、、私は、、、、独りに、、出来な、、くて、、、一緒に、、、居ました」
源さんこと源仁は笑った。
「宜しく頼みます」
目の錯覚では無かった。
源さんの足元から薄れていき、どんどん消えていった。
最後に笑顔を残して、完全に消えた。
遥を残して。









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