僕に初めての感情を君が教えてくれた。
~次の日の朝~
僕は、今田さんをお昼に誘うことにした。
「ねぇねぇ今田さん、あ、あの僕とお昼ご飯一緒に食べない?」
「あの、私でいいの?たぶん、他に食べたい人がいると思うけど?」
「あのね、僕はね、今田さんと一緒に食べたいんだ。」
僕が涙目になりながら言うと、今田さんは、ちょっと顔を赤くしていいよと言ってくれた。
いつもは、長い一日が今日は、信じられないくらい早く、僕が気付いた頃には、お昼休みになろうとしていた。
~昼休み~
よしっ!今田さんを屋上に誘って一緒にご飯を食べるぞ!!
「今田さん一緒に…」
そう僕が決心して、今田さんに近付こうしたとき、たくさんの女子が周りを囲った。
「佐藤くん!私と一緒に食べましょう?」
「待って!その女より私と食べましょうよ!」
「何よ!私が先に誘ったんだから邪魔しないでよね!」
「はぁ~?別に私のほうがいいと思ったから、誘ったんじゃない!」
はぁ~また始まった。僕は、今田さんと食べたいだけなのに、何で巻き込まれなくちゃならない?
僕は、心の中の黒い感情を抑えながら一刻も、早く今田さんのもとへ向かうことにした。
「ごめんね。僕は今田さんと二人だけでお昼を食べる約束をしてるから。勝手に僕のお昼の相手を決めないでくれる?じゃあ、僕は行くから。それと、これからもずっと今田さんとしかお昼は、食べないから。それがわかったら、早くどいて。」
そう言って、僕が今田さんに近付こうとしたら、もう今田さんがいなくなっていた。
もしかしたらもう屋上に行ってしまったのかもしれない。そう思い、屋上に向かった。
僕が屋上に向かうと、今田さんは一人でお昼を食べていた。
「遅くなって、ごめんね今田さん。僕から誘ったのに。」
僕がそういうと、今田さんは、少し寂しそうな顔をして言った。
「ううん、いいの。佐藤くんは、優しいから一人でいる私を誘ってくれただけなのに、私が調子に乗って喜んでたから、きっと罰が当たったのね。だから、佐藤くん気にしないで。」
この言葉を聞いた瞬間、僕の心は今までに経験したことないくらい重くなった。それと同時に、今田さんに二度とこんな顔をさせてはいけないと思った。だから、僕は全てを話すことにした。
「あのさ、今田さん僕の話を聞いてくれる?」
すると、今田さんは何も言わずコクリとだけ頷いた。
「あのね、僕が今田さんをお昼に誘ったのは、僕が優しいからじゃなくて、今田さんと仲良くなりたいから誘ったの!ただ、仲良くなりたいんじゃなくて、今田さんの特別になりたいんだ!」
「えっ?」
「つまり、今田 摩耶さんきみのことが好きなんだ。誰にも取られたくないんだ。僕だけの摩耶さんになってくれませんか?」
「あの、ごめんなさい。佐藤くんが私のことを好きでも、私は、佐藤くんのこと何も知らないし、私なんかでいいの?」
「僕は、摩耶さんなんかじゃなくて、摩耶さんだからいいの。だから、僕と付き合ってくれませんか?」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「やった!!」
僕はうれしくて、摩耶さんを抱き締めてしまった。
「ねぇねぇ佐藤くん?私本当にあなたのこと何も知らないけどいいの?」
「別に、今は知らなくても、少しずつお互いにお互いのことを知ろうよ。そっちのほうが楽しいよ!」
「そうね。あの、私も佐藤くんに伝えたいことがあるんだけどいい?」
「どうしたの?」
僕はなにをいわれるんだろうとドキドキした。
「あのね、佐藤くんが女の子達に囲まれてたときあったでしょう?あのとき、私ね、初めてああ、佐藤くんに恋してるんだ。佐藤くんのことが好きなんだってわかったの。そう自覚したら、涙が出て止まらなくなったの。それで佐藤くんに見つかりたくないと思って、佐藤くんを置いて教室を出ちゃったの。本当に佐藤くんには、悪いことをしたわ。ごめんなさい。」
それを聞いた瞬間、とても愛しくなって余計にきつく抱き締めてしまった。
「いいんだよ。そんなこと。摩耶さんこれだけは覚えておいて。僕が優しくしたいのも、こんなことしたくなるのも、摩耶さんだけだよ。」
「本当?」
「本当だよ。だって、僕ずっとずっと前から好きなのに。」
「そうなの!?知らなかった!」
そのときの摩耶さんの顔はいちごみたいに赤くて可愛かった。
「あの、摩耶さんお願いがあるんだけど、
摩耶さんのことを摩耶って呼んでもいい?僕だけが呼べる特別な呼び名がほしい。」
「いいよ!」
「やった!!」
こうして、僕たちはつきあうことになった。
一方、教室で、僕が言った一言で教室がお祝いムードになっていたことをこのときの僕たちは知らない。