転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
「……うまいな。確かに、城のスイーツより絶品かもしれない」
「でしょ!? 本当にこのアップルパイはすごいんだから!」
「どうしてお前が自慢げなんだ。作ったのはお前じゃないだろ」
「そうだけど、いずれ私も作れるように――」
私とフィデルが言い合いをしていると、お母様が静かに『あのー……』と口を開く。同時に私たちの視線は、アップルパイからお母様へと移り変わった。
「ふたりって、どういう関係なの?」
私たち――おもにフィデルの視線に若干怯えながら、遠慮がちにお母様は言った。
お互いどう説明しようか悩み、すぐにその質問に答えられないでいると、お母様はなにか勘違いをしたようだ。
「ま、まま、まさか、シエラ! あなたが婚約破棄されたのって、エリオット王子がいるにも関わらず、フィデル王子と……!」
両手で口を覆い、椅子から飛び上がり後ずさるお母様を見て、私は急いで訂正をする。
「違うってば! 私がそんなことするわけないでしょ! むしろ私はされた側!」
「……された側? シエラ、エリオット王子に浮気されたの?」
「浮気っていうか、最初から、私のことは好きじゃなかったみたい」
「……どういうこと?」
お母様を椅子に座らせなおし、私は婚約破棄された理由と、フィデルと今一緒にいる理由を話した。私たちふたりが、能力を持っていることも。
「そう。……エリオット王子は、シエラの能力を狙っていただけだったのね」
「……うん。ごめんなさい。せっかく、家をちょっとでも裕福にできるチャンスだったのに」
「シエラはなにも悪くないし、そんなこと考えなくていいのよ。それに、謝るのは私の方だわ。ママね、エリオット王子が、シエラと婚約するって言い出したとき、少し違和感を感じていたの。……でも、すっごく嬉しそうなシエラを見て、ママはその違和感を見て見ぬふりをした。こんなことになってシエラを傷つけるなら、もっと早めにシエラに話をするべきだった」
お母様は、申し訳なさそうな顔をして、優しく私の頭を撫でる。なんだかちょっと泣きそうになった。
「私も、シエラは高確率で異能を持って生まれたと思ってた。もし、シエラの能力がこのまま開花しなければ、二十歳になったとき話そうと思っていたの。ガードナー家は代々、“千里眼”の能力を持つ血筋だということを」
「でしょ!? 本当にこのアップルパイはすごいんだから!」
「どうしてお前が自慢げなんだ。作ったのはお前じゃないだろ」
「そうだけど、いずれ私も作れるように――」
私とフィデルが言い合いをしていると、お母様が静かに『あのー……』と口を開く。同時に私たちの視線は、アップルパイからお母様へと移り変わった。
「ふたりって、どういう関係なの?」
私たち――おもにフィデルの視線に若干怯えながら、遠慮がちにお母様は言った。
お互いどう説明しようか悩み、すぐにその質問に答えられないでいると、お母様はなにか勘違いをしたようだ。
「ま、まま、まさか、シエラ! あなたが婚約破棄されたのって、エリオット王子がいるにも関わらず、フィデル王子と……!」
両手で口を覆い、椅子から飛び上がり後ずさるお母様を見て、私は急いで訂正をする。
「違うってば! 私がそんなことするわけないでしょ! むしろ私はされた側!」
「……された側? シエラ、エリオット王子に浮気されたの?」
「浮気っていうか、最初から、私のことは好きじゃなかったみたい」
「……どういうこと?」
お母様を椅子に座らせなおし、私は婚約破棄された理由と、フィデルと今一緒にいる理由を話した。私たちふたりが、能力を持っていることも。
「そう。……エリオット王子は、シエラの能力を狙っていただけだったのね」
「……うん。ごめんなさい。せっかく、家をちょっとでも裕福にできるチャンスだったのに」
「シエラはなにも悪くないし、そんなこと考えなくていいのよ。それに、謝るのは私の方だわ。ママね、エリオット王子が、シエラと婚約するって言い出したとき、少し違和感を感じていたの。……でも、すっごく嬉しそうなシエラを見て、ママはその違和感を見て見ぬふりをした。こんなことになってシエラを傷つけるなら、もっと早めにシエラに話をするべきだった」
お母様は、申し訳なさそうな顔をして、優しく私の頭を撫でる。なんだかちょっと泣きそうになった。
「私も、シエラは高確率で異能を持って生まれたと思ってた。もし、シエラの能力がこのまま開花しなければ、二十歳になったとき話そうと思っていたの。ガードナー家は代々、“千里眼”の能力を持つ血筋だということを」