転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
 ……それに、こんなことになって両親にも申し訳ない気持ちでいっぱいだ。私が王子と結婚すれば、貧乏ともおさらばできただろうに。

 ガードナー家に伝わる異能の話だって、エリオットは王族だから詳しく知っていたのかもしれないが、世間には浸透していない。エリオットにバラされることによって、家族が周りからど思われるかも心配だ。
 心配ごとは言い出したらキリがない――けど、とにかく、あのふたりに好き勝手させるつもりは微塵もない。

「夜会は明日か……はぁ」

 あまりの時間のなさに大きなため息を吐いた。城からも今日中に出ていけと言われているし、早く行動を起こさなければ。
 鏡前に立ち、ベージュの長い髪をいつものようにハーフアップにまとめていると、私はふとある人の存在を思い出した。

「……そうだ。フィデル様」

 フィデル・バラクロフ。知る人ぞ知る、エリオットの弟であり、国の第二王子。

 幼い頃、一度だけ夜会で姿を見たことがあるものの、それ以降一度も彼を見たことはない。

 なぜ私が、今になって彼のことを思い出したのかというと、以前エリオットと陛下が彼について話していた声を聞いてしまったことがあるのだ。
 その話は私には衝撃的で、今の今まで、ずっと知らないふりをしていた。だって、そのときの私にはすぐに信じられる話ではなかったから。

 話の内容は――フィデル様は〝予知能力〟が使えるというもの。
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