人格矯正メロディ
☆☆☆

あたしと海の関係も相変わらず順調だった。


引きこもりだった海はあたしとのデートのために外に出るようになった。


でも、外に出ればお金がかかる。


そう理解した海は、数日前からアルバイトを始めていたのだ。


「海、今日も遅刻してごめんね~?」


5分ほど遅れて約束場所のコンビニへ到着すると、海はすでに来てくれていた。


こうして海と外で待ち合わせをすることだって、初めてかもしれない。


「全然待ってないから大丈夫だよ」


海はニコニコと笑みを浮かべてそう言った。


昔の海なら、少しでも時間に遅れたらあたしへ向けてキレていた。


下手をしたら、1分遅刻しただけで殴ってくるときもあったくらいだ。


それはいつもで海の気分しだい。


あたしはそんな海相手に、いつもビクビクしていたのだ。


少しくらいわざと遅刻して到着したって、咎められる筋合いはなかった。
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