人格矯正メロディ
☆☆☆

「星羅、買い物にいくから準備しなさい」


あの日、母親にそう言われてあたしは自分で一生懸命着替えをした。


家や幼稚園で教えてもらったのだ。


服が上手く脱げなくても、母親はジッとあたしを見ているだけだった。


ズボンを脱ぐときに足が絡まってこけても、手をかさなかった。


あたしは自力で着替えを終えて、ようやく母親と2人で家を出た。


今思えば両親はあたしを強い子に育てたかったのかもしれない。


その日はあたしの誕生日で、好きなオモチャをひとつ買ってくれる予定だった。


前日からウキウキして、なかなか寝付けなかったことを覚えている。


欲しいオモチャは一週間も前から決めていた。


新しいお人形を買ってもらうのだ。


友達は新しいお人形が発売されたら次々と買ってもらっていたが、あたしの家はそうじゃなかった。


やはり甘やかしてはいけないと思っていたのだろう。


オモチャは特別な誕生日やクリスマスと言った日にしか買ってもらうことができなかったのだ。
< 122 / 202 >

この作品をシェア

pagetop