人格矯正メロディ
「今日はオモチャを気に行くからね」


「うん!」


母親に手を引かれて歩く道のりは楽しかった。


好きなオモチャを買ってもらって、家に帰ればケーキが待っている!


そう思うと自然と足が弾んだ。


でも……。


「これがプレゼントよ」


そう言って渡されたのは知育玩具だったのだ。


数字やアルファベットや日本語が書かれた本にブロック。


「でも、欲しいものはこれじゃないよ?」


あたしがそう言っても母親は聞く耳を持たなかった。


「お洋服はこれ。オモチャはこれ。これ意外は手にしなくていいの」


そんなことが日常的になってきて、反論すればとても冷たい目で射抜かれた。


その目で見られることを恐れ、あたしはなにも言えなくなってしまったんだ……。
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