人格矯正メロディ
財布まで盗られなかっただけいいと思うしかない。


それにしても、この海という男性には感謝しないといけない。


女子たちが男性に夢中になっている間に、あたしは逃げる事ができるんだから。


ペンケースに手を伸ばそうとしたとき、大きな手がそれを拾い上げていた。


咄嗟に女子たちかと思ったがどう見ても手の大きさが違う。


ハッとして顔を上げるとそこには海の優しい笑顔があった。


「大丈夫? もしかして、こいつらになにかされた?」


そう質問をしながらあたしにペンケースを差し出してくる。


あたしはペンケースを受けとりながらブンブンと強く左右に首を振って否定した。


女子たちが見ているのに、本当のことなんて言えるワケがなかった。


リーダーたちの方を見なくたって、鋭い視線が体中を射抜いているのだから。


「本当に? おいお前ら、イジメとかそういうのよせよ」


「あ、あたしたち別になにもしてないし」


「そうだよ! この子が1人で寂しそうにしてたから声かけただけだしねぇ」


慌てて言い訳をしながらも、青ざめているのがわかった。
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