人格矯正メロディ
☆☆☆

家に戻ると夕飯にはあたしの好物ばかりが並んでいた。


「おかえり星羅ちゃん。今日はデザートにチョコレートケーキも作ったのよ」


白いエプロンをした母親は上機嫌に話かけて来る。


あの音楽を聴かせてから、あたしのご機嫌を取る事が生きがいになっている様子だった。


「食後にそんなもの食べたら太るでしょ」


あたしは母親を睨み付けて言う。


母親は一瞬たじろいだ表情を浮かべたが、すぐに笑顔に戻った。


「大丈夫よ。ちゃんとカロリーゼロの砂糖を使ったから」


「そうなんだ。ちゃんとわかってんじゃん」


あたしは偉そうに言い、食後のデザートに手を伸ばす。


夕飯の後だと言われたって聞くつもりはなかったし、そんなあたしに怒る人はもういない。


「結構美味しいじゃん」


ケーキをひと口食べてそう言うと、母親は本当に嬉しそうな顔をするのだ。
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