人格矯正メロディ
その顔を見ていると不意に幼少期の出来事を思い出した。


『夜におやつを食べちゃダメよ。醜くなるから』


母親はそう言い、夕飯の後になると絶対におやつを食べさせてくれなかったのだ。


昼間なら食べさせてくれるのかと思いきや、それも制限があった。


甘い物はチョコレートひとかけらまで。


ポテトチップスなどは一日三枚までと決められていた。


厳しい制限を設けられる中、当然あたしの不満は溜まって行った。


『○○ちゃんはおやつを沢山食べてる』


『××ちゃんは学校にもおやつを持ってきている』


そんな文句を母親へ向けて言うようになっていた。


そうすると決まって母親は醜く太った女性の写真をあたしに見せるのだ。


『今に○○ちゃんはこうなるのよ』


『××ちゃんの将来はこの人よりもひどい姿よ』


そう言って、あたしの食欲をうばってきた。


それでも美味しい物が食べたいとだだをこねると、今度は遠い国の食事もままならない子供の写真を見せて来た。
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