人格矯正メロディ
もたもたしている間に、下を向いていた視界の中に白いスニーカーが見えた。


それは見おぼえるあるもので、あたしは顔を上げる。


「海、バイトはどうしたの?」


目の前に立つ海に驚きつつ、そう声をかける。


海は無言のままジッとあたしを見つめている。


なにか様子がおかしいような気がして、あたしはほほ笑んで見せた。


「海?」


優しく声をかけながらベンチから立ち上がったその瞬間、突如として海の右手の拳があたしの頬を殴っていたのだ。


突然のことに真面に殴られてしまい、横倒しに倒れ込んだ。


痛みよりも先に驚きに目を見開き、その後ズキズキとした深いうずきが頬に訪れた。


あたしは倒れ込んだまま頬を押さえて海を見上げた。


「どうしたの海?」


そう聞いてもやはり返事はなかった。


海の目はただジッとあたしを見据えているだけで、なんの感情も感じ取る事はできなかった。
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