人格矯正メロディ
そう呟く自分の声が一気に年をとってしまったように感じた。


「みんなはもう帰って行ったよ」


コトハは義務的な口調でそう言った。


確かに、慣れて来た視界の中で確認してみても公園内にみんなの姿はないみたいだ。


「どうしてコトハがここにいるの?」


そう聞くと、コトハが冷たいものをあたしの傷口に押し当てて来た。


一瞬痛みがあって振り払おうとしたが、それが濡らしたハンカチだとわかって安堵した。


「ずっと気になってたから、星羅の後を追い掛けてきたの」


「まさか、コトハが海たちを呼んだの?」


ハッと感づいてあたしはそう言った。


しかし、コトハは左右に首を振るだけだった。


「じゃあ、どうして海たちはあたしが公園にいるってわかったの?」


「たぶん、スマホの位置情報を使ったんじゃないかな?」


コトハの言葉にあたしはゴクリと唾を飲み込んだ。


たしかに、位置情報を確認すれば簡単に居場所はわかるけど……それでもあたしには納得できなかった。
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