人格矯正メロディ
「どうして海たちがあんなことをしたのか、コトハは分かってるの?」


そもそもの疑問はそこだった。


海と香澄と両親が、同時にあたしを攻撃しはじめたのだ。


あの時の驚愕は今も胸に深く刻まれている。


「副作用だよ」


コトハがまた義務的な声色になって言った。


まるであたしを見下しているようにも感じられる。


「嘘だ。あんなひどい副作用なんて聞いたことない」


「元の人格の戻ろうとする力と、強制的に作られた人格を維持しようとする力が働き合って、狂暴化することもあるって」


コトハはそう言い、またスマホ画面をあたしへ見せてくれた。


「他の書き込みは信ぴょう性が薄かったけれど、これだけは違った。だからあたしは一人で色々と調べてみたんだよ。その結果、本当の可能性が高かった」


「副作用が出た人間はどうなるの?」


「ずっとあのままだよ」


「嘘でしょ……」


無表情であたしに暴行を加え続けた4人を思い出し、青ざめた。


ずっとあのままだということは、あたしはいつ誰から暴力を受けるかわからないということになる。


4人だけじゃない。


クラス内でも音楽を使っているから、彼らが今後どんな風に変化していくのかわからないのだ。
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