人格矯正メロディ
これで音楽は聞かせたことになるから、今度はどんな人格になってほしいかと相手に伝えるんだっけ?


あたしは恐る恐る田村の顔を見つめた。


今の田村はなにを考えているのか全く分からない、目の色さえ失ってしまっているように見えて、一瞬寒気を感じた。


軽く身震いをしてから、ゆっくりと言葉を探す。


「あんたは……あたしに興味を無くす」


あたしが言葉を切った瞬間、田村が我に返ったように息を飲み、そして目を見開いてあたしを見つめた。


あたしは固唾を飲んで田村を見返す。


普段、この至近距離にいれば田村は必ずなにかしら声をかけてくる。


あたしが田村の目の前を横切った時、偶然廊下ですれ違った時、それは毎日のルーティーンのように繰り替えされていた。


それなのに……。


田村は何度か瞬きをしてあたしを見つめた後、どうして自分がここに立っているのかわからない、という様子で首を傾げ、そのままあたしに背を向けたのだ。
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