人格矯正メロディ
あたしは必死にバッグを手繰り寄せてスマホを取り出した。


「なにしてんだよ」


海があたしからスマホをうばおうと手を伸ばす。


しかし、あたしがアプリを起動する方が早かった。


音楽が流れ出した途端、海は動きを止めた。


ジッと食い入るようにあたしのスマホを見つめて、音楽に聞き入っているのがわかった。


あたしは痛む腹部をかばいからだ上体を起こした。


それでも海は反応しない。


まるであたしが見えていないように見えて、少し不安を感じた。


けれどそれもつかの間だった。


10秒ほどで音楽は止まり、同時にあたしは「優しくて勇敢な人になる」と早口で言っていた。


あたしの言葉に海は驚いたように目を見開き、そして瞬きを繰り返した。
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