メーティスの骸

「ん？あれ？」

避けられていることに傷ついていた透は、目の前で六歳ほどの男の子が体を震わせていることに気付いた。否、あれはただ震えているのではない。痙攣を起こしている。

それに気付いた刹那、透と玲奈は互いに顔を見合わせる。その目はとても真剣なものになっていた。急いで男の子に駆け寄る。

「大丈夫？お名前は言える？」

「ねえ、しっかりして！！」

透と玲奈はしゃがみ込み、声をかける。しかし男の子は痙攣したままだ。透は脈を測ろうと男の子に触ろうとした。

「うちの子に触らないで！！」

触ろうとした刹那、怒鳴り声が飛んでくる。男の子の母親が顔を真っ赤にしながら男の子を乱暴に抱き上げた。

「その子は大きな病気の可能性がある。一刻も早く医者に診てもらわないと最悪の事態になる可能性もあるわよ」

玲奈がそう言っても、母親は玲奈と透を睨み付けて家の中へ入っていった。

「もしかして、虐待か？警察と病院に連絡した方がーーー」