メーティスの骸
透がスマホを取り出すと、「私たちがよそ者だからだろ。さすがに病院に連れて行くはず」と玲奈が止めた。

二人は仕方なく歩くのを再開したが、すぐにこの島が何かおかしいと気付いた。道端で痙攣を起こしている人が何人もいるのだ。

「えっ?何だよ、これ!!」

驚く透に対し、玲奈は冷静な目で痙攣を起こしている島民たちを見つめていた。



透は家に帰るとすぐに美咲や洋一にこのことを話した。すると、二人の目も真剣なものに変わる。

「感染症研究センターの出番だな!」

「あたしも看護師として様子を見てくるよ!」

二人はそう言って家を飛び出して行ったのだが、よそ者を嫌う島民たちは何も教えてくれず、手を出すなと怒鳴られたらしい。

そして、翌日に透と洋一が道を歩いていると一軒の家から数人もの人が出てくるのが見えた。透は洋一の手を引いて物陰に隠れる。島民の話を盗み聞きした方がいいと思ったからだ。

「山村さんの息子さん、結局助からなかったな」

「攻撃的な性格に豹変して、姿勢がまるで悪魔に取り憑かれたみたいになって、動けなくなってかわいそうだね」
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