不器用オオカミとひみつの同居生活。


「加瀬沢なら裸見られていいの?きゃー♡」

「ち、ちがくて……被害が最小限で済んでよかったってこと!」


ちらりとあの場にいた人たちを盗み見る。

絶賛笑えない下ネタで盛り上がっていて、震え上がった。


本当に鉢合わせなくてよかった。


窮地から救ってくれた周くんには感謝してもしきれないんだけど、やっぱりどこか気まずくて。


隣の席ということもあって、なかなかにしんどい。


向こうも一見普通に話しかけてくれるんだけど、すこしだけ不自然というか、ぎこちなさを感じてしまう。



すうちゃんに言ったら、


「そりゃそうでしょ。裸見られてんだから。まぁ時間が解決するんじゃん?
てか、あとはなんかあった?のぼせたせいでふらついたカヤと加瀬沢がキスとかないわけ?」



「すうちゃんってなんでそんなに想像力豊かなの?あるわけな…………」


「あるの!!!?」


「いや、ないっ!それはないからっ!!」


もちろんしつこく聞かれたけど、それだけは絶対に言えなかった。


花平くんにキスされたなんて、


しかもそれが初めてじゃないって……



とてもじゃないけど、言えるわけがない。


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