不器用オオカミとひみつの同居生活。



退院した次の日。

朝起きたら家に花平くんがいなかった。


学校には別々に行ってるから、とくに不思議にも思わなかったんだけど。

なんとなくモヤモヤしながら自分も学校に行く支度をする。



学校に着いて教室に入ると、すでに準備していたのかすうちゃんが宙にいた。


ぎょっとして見上げるけど時すでに遅し。



「カヤぁ!!!!」

「うっ……!」


退院そうそう、病院へ逆戻りになりそうなほどのタックル。

今回もなんとか受け止めて、その顔をのぞき込んだ。



「すうちゃんって意外と泣き虫だよね」

「あんたの涙腺がぶっ壊れてるだけ」


たしかにすうちゃんの前で泣いたのは一度きり。

それも映画で泣いたという、カウントすら怪しいものだった。


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