不器用オオカミとひみつの同居生活。
髪を乾かし終わって、時計を見るともう3時近くになっていた。
今日は放課後そのままバイトに行ったから、仮眠すら取っていない。
さすがに学校終わりの8時間はきつかったな……
家に友達を呼んだことはなくて、来客用の布団もない。
だから私のベッドを使ってもらうことにした。
「お前は」
「私はソファで寝るので」
大きさは十分にあるし逆でもよかったんだけど、ソファの生地は今の彼にはきついと思ったから。
ベッドのほうがまだ肌に優しい。
それに今の私は無敵だった。
たとえ床だとしても数秒で寝られる自信がある。
「じゃあ電気消しますね」
近くのリモコンを手に取ったけど、彼はまだベッドに近づいてなかったから机の上にリモコンを置いた。
「あまり起きてると明日しんどいですよ」
私はもう寝ますから、好きなときに消してください。
と言って毛布を被った。
やわらかな毛布と絶妙なソファの固さに、眠気とぬくもりがじんわりと身体の中に浸透していく。
『おやすみなさい』
実際に声に出したかわからないまま、私は夢のなかへといざなわれていった。