不器用オオカミとひみつの同居生活。


昨日の出来事を話すと、それまで黙って聞いていたすうちゃんに「ばっかじゃないの!」と怒られた。



「不良を家に上げるとか、何かされたらどうすんのよ!」

「でも何もされなかったよ」


「それは奇跡だったわけ!もし違う人だったら、ふにゃふにゃしてるあんたなんかすぐにヤられてるよ」

「やられるって、なにを?」

「犯されてたってこと!」


私はぎょっとしてすうちゃんの口を手で塞いだ。


幸いにもホームルーム前の教室は騒がしかったから、周りには聞こえていないようだった。

ほっとして手を離すと、すうちゃんはまだ言い足りないように息を吸う。



「その不良だって、弱ってたから手を出さなかったのかもじゃん。カヤはぼーっとしてるからすぐに……」


「わ、わかったから!その続きは言わなくていいから」



それにしてもふにゃふにゃとか、ぼーっとしてるとか。

すうちゃんの目には私がどう映ってるんだろう。


< 28 / 403 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop