不器用オオカミとひみつの同居生活。
翌日、教室に入った私を迎え入れてくれたのはすうちゃんで。
「カヤー!」
「うっ」
すさまじいタックルを食らいながらも、すうちゃんを受け止める。
ぱっと離れたその大きな目には溢れんばかりの涙が溜まっていた。
「もう大丈夫なの!?バカ、心配したんだけどっ」
「ごめんね。もう治ったから大丈夫だよ」
「風邪ひいてたんなら言ってよ!そしたらすう、看病しに行ったのに!バカ!」
さっきから言葉の節々にバカって入ってるような気がする。
でもそれはすうちゃんの照れ隠しなんだって、一緒に過ごしていくうちにわかるようになってきた。
「すうちゃんにうつしたら悪いもん。それに……」
花平くんがついていてくれたから。
そう言おうとしてふと思いとどまった。
言わないほうがいいのかもしれない。
これ以上すうちゃんに隠し事をするのは心が痛むけど、いまはまだ秘密にしておこう。
ただでさえ心配をかけてるのに、これ以上心配させたくなかった。