恋人のフリはもう嫌です

「君の個人情報を暴くのは簡単で」

「暴かれなくても、喜んでお教えしますのに」

 嬉しそうな彼女に、西山さんは冷酷に告げた。

「知りたくもない」

「あっ、あの」

 怯えた表情を見せる女性に、西山さんは畳み掛けた。

「俺は知らずとも、自動で海外の怪しいサイトに繋げるのは朝飯前だからね。知らぬ間に、自分の内臓が売られていても」

「ヒッ」と悲鳴を上げた女性は、最後まで聞く前に悪魔でも見るような顔をさせ、逃げていった。
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