エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
だがそんな時間はあっという間に終わった。

花火は終わりパーク内の照明がつくと私たちは唇を離した。

恋愛経験のない私がこんなにも積極的にキスするなんて……ここがテーマパークだからに決まっている。

だけど私の鼓動が落ち着くことはなかった。


帰りの車の中は静かだった。

それはキスのせいもそうだが、他にも理由があった。

睡魔だ。

昨夜ほとんど寝ていなかったツケが今頃になって現れてしまったのだ。

「近くなったら起こすからそれまで寝てな」と言ってくれた洋介さんの言葉に甘えた。

家に着いたのは日付が変わる手前だった。

「今日はありがとう。すごく……楽しかった」

「風邪引くといけないから早く部屋に入れ。部屋に着いたのがわかるまでここにいる」

「はい。じゃあ……おやすみなさい」

「……おやすみ」

後ろ髪を引かれる思いでマンションの中に入るとエレベーターに乗った。

そして部屋に入るとすぐに照明をつけベランダに出た。

すると車が発進する音が聞こえた。

私は車が見えなくなるまでベランダにいた。

完全に車が見えなくなると大きなため息を吐いた。

もし本当の恋人なら部屋に上がってもらう事もできるのに……。

だけど明日は婚約者と会う約束をしている。

そんな自分がすごく腹立たしくもあった。
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