片想いは今日でおしまいでいいよね?
美里と弘樹は、公園で鬼ごっこをして遊んでいた。

2人とも4歳。家が隣同士、生まれたときからの幼馴染だ。

「え~、またみぃがオニ~?ひろちゃん、足、早すぎるよ」

「文句言うなら、遊ばないぞ~?」

「やだ。遊ぶ。みぃ、追いかけるから、ひろちゃん逃げて。10数えるよ。1,2,3,4・・・10! 待て~っ!!」

美里が走り出すと、途端に転んでしまった。

「痛い~。え~ん、え~ん。」

「みぃ!転んだのか?痛いのか?泣くなよ・・・」

それでも、泣き続ける美里。

「仕方ないなぁ・・・これやるから、お願いだから、泣き止んでくれよ」

弘樹がポケットから出したものは、キラキラ光る、7色のスーパーボール。大きいやつだ。

「・・・いいの?それ、ひろちゃんの宝物でしょ?」

ひっく、ひっく、言いながら、尋ねる美里。

「いいんだよ、美里が笑顔になるなら」

弘樹は無理やり美里にスーパーボールを渡す。

「ひろちゃん・・・」

これが、あたし、今野美里(こんの みさと)佐々野弘樹(ささの ひろき)を意識した最初の瞬間だった・・・と思う。
< 1 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop