転生人魚姫はごはんが食べたい!
 そう教えられて育ってきたのだとニナは言う。私はその一員になれたことを喜びながら、いただきますと口にした。
 魚からだしをとっているスープはほんのりと辛いアレンジだ。具材にされている白身魚を食べることでより味に深みも増す。刻んで添えられている野菜の緑も美しく、一口サイズに切られた肉からも旨味が溢れ出している。

「ど、どうですか!?」

「美味しいわ!」

「良かったです! それ、この辺りの家庭では有名な味付けなんですよ。一度にたくさん作れて便利で、雪の降る日にはどの家でも食べるんです」

「身体が温まりそうですものね。あら、魚とお肉のスープだと思っていたけれど、きのこまで入っているのね」

「具材には特に決まりがなくて、何を入れるかでその家庭の個性が出ます。あ、この中に麺を足すのも人気の食べ方なんですよ」

「この中に麺……」

 つまりラーメンのようなものかしら? 麺料理も発展しているなんて凄いことだわ!

 ぜひ試してみたいと思いながらも今日は止めておくことにする。他にもまだまだ食べてみたいものはたくさんあるのだ。スープだけで満腹にしてしまうのは勿体ない。

「さてと、次はいよいよお肉を探しに行くわよ!」

「それなら私にお勧めがありますよ!」

 そう言って人ごみに消えていくニナを、私はサプライズも面白そうだと思いながら見送った。
 町並みを眺めながらベンチに座っていると、町の様子がのんびりと観察出来る。軽装に身を包み足早に歩く人たちは船乗りだろう。ゆっくりとした足並みで歩く男女は観光だろうか。平和な町だと、そんな印象を受けた。

「奥様! お待たせしました」

「ありがとう――って、それは!」

 早くもニナが手に持つそれに視線が向いてしまう。
 串にささった厚みのあるベーコンからは懐かい肉の香りがしていた。

「本日仕入れた食材を気分で串に刺したお勧めの串焼きです!」

 物凄く運頼りのお勧め品だなと感じたのはさておき。

「一番上の赤い野菜はトマト?」

「はい。甘くて美味しいですよ」

 それはトマトの赤が映える、見た目も可愛らしい串焼きだった。
 上から順にトマト、肉厚のベーコン、イモ、そしてベーコン、トマト、さらにベーコンと続く。
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