転生人魚姫はごはんが食べたい!
「気を悪くさせてしまったのなら謝りますわ」

「別にいいのよ。私も占いは嫌いですもの」

「嫌い、なんですか?」

 占い師なのに? とはストレートに言わないけれど、誰だってそう感じると思う。

「これは仕事というよりただの趣味。興味と言う方が正しいかしら。人間が何を考え、何を求めているのか、観察しているだけなのよ。だから占いの対価も適当。嫌いな人間からはたくさんいただくし、逆に気に入った人間は無償で占うことも多いわ」

「随分と正直なのですね」

「あら、私こそ気を悪くさせてしまったかしら。私はこれでもお嬢さんのことを気に入っているのよ。こんなに何も見えない人は初めてですもの」

「何も見えない?」

 占い師は指先で水晶をなぞる。

「残念だわ。私、お嬢さんの未来が見たかったのに……」

 もう一度吐き出されたため息だけれど、今回は心から残念がっているようだった。

「私の未来を占う必要はありませんわ。それよりも、私には探している人がいるのです」

 人魚を探しているとは言えないけれど、占い師だというのなら占ってみてほしいものだ。私の大切な姉の居所を。

「そう……。とても大切な方なのね」

 探しているのだから大切な人である可能性は高いわ。たまたま発言が当たっただけのことよ。

 占ってほしいと望みながら、私はまだこの人のことを信じきれてはいないみたいだ。どうしても発言の根拠を探ろうとしてしまう。

「その方のためにこんなところまで、健気なことね。でも残念ながら、この町にはいないのよ」

「どうしてそう言い切れるのですか?」

「さあ、どうしてかしら。お嬢さんがそう言ってほしそうな顔をしていたから? ふふっ、冗談よ」

 結論を急ぐ私に占い師はまたのらりくらりとはぐらかす。むっとして声を上げる寸前、彼女は心配することはないと言った。

「探し人の情報なら、貴女の王子様が運んでくれるわ」

「私の、王子様?」

「心当たり、あるでしょう?」

 確かに王子様と聞いて思い出すほど身近に王子様はいるけれど……。

「貴女は何を知っているのですか?」

 私のことを知っている? そうね、旦那様は有名ですもの。私の名前から妻だと判断した可能性もあるわ。ならどうして、この町にいないと言い切れたの? 適当に話を合わせているだけ? それとも……
< 61 / 132 >

この作品をシェア

pagetop