転生人魚姫はごはんが食べたい!
というか旦那様、急すぎません!? 明日ってなんですか明日って!
「私、心の準備が!」
「飯は美味いぞ」
「えっ!? って旦那様、それ言えば私が頷くと思っていませんか?」
「興味あるだろ?」
「ありますけど!」
高級ホテルのレストランに一人で出没する根性ならあります。でも貴族のパーティーに旦那様の伴侶として出席する勇気はまだありません!
イデットさんやニナからこの世界の振る舞いやマナーについては教えてもらっているけれど、まだまだ付け焼刃は拭えない。
「私が一緒では旦那様に恥を書かせてしまいます」
「俺は気にしないぜ」
「気にして下さい! パーティーって、どうせ踊るのでしょう!? 言っておきますけど私、踊れませんから。俺がリードしてやるぜとか、どや顔で言われたって、まったく踊れないんですからね!?」
パーティーといえばダンス。一般人が踊れると思わないでくださいよ!?
もちろんいつかはと身構えてもいたけれど、まだまだダンスの習得までは至っていない。
「安心しとけ。これはダンスパーティーというより社交パーティーだな。あの伯爵は自慢のコレクションを他人に見せびらかすのが大好きなんだよ」
「伯爵? コレクション?」
わざわざ口に出されたその表現に疑問を覚える。
伯爵……貴族?
コレクション……珍しいもの?
それはきっと、美しくて綺麗な物。そう、たとえば――
「まさか、人魚ですか? 伯爵のお屋敷に人魚がいるのですか!?」
「確証はないが、その伯爵というのが以前話していた男だ。探ってみる価値はあるぜ。そいつは俺が人魚を保護すると提案した時、誰よりも熱心に反対してくれたからな」
もっともらしいことを口にしてはしていたが、あまりにも食い下がったという。そこで旦那様が追いかけていたところ、取引の疑惑が浮上したらしい。
「もちろん口では知らないと否定しているがな。探りを入れるためにも偶然を装って顔を合わせてきた。そしたらちょうど屋敷で夜会を開くと聞いてな。招待されてやったぜ」
伯爵は美術品や宝石といった美しい物を集めるのが好きらしく、かねてより屋敷で行われるパーティーに呼ばれていた旦那様は一度顔を出して以来、自慢話にうんざりしたのだとか。けれど今回は自ら偶然を装い、褒めたくもない品を褒めまくってきてくれたそうだ。
「私、心の準備が!」
「飯は美味いぞ」
「えっ!? って旦那様、それ言えば私が頷くと思っていませんか?」
「興味あるだろ?」
「ありますけど!」
高級ホテルのレストランに一人で出没する根性ならあります。でも貴族のパーティーに旦那様の伴侶として出席する勇気はまだありません!
イデットさんやニナからこの世界の振る舞いやマナーについては教えてもらっているけれど、まだまだ付け焼刃は拭えない。
「私が一緒では旦那様に恥を書かせてしまいます」
「俺は気にしないぜ」
「気にして下さい! パーティーって、どうせ踊るのでしょう!? 言っておきますけど私、踊れませんから。俺がリードしてやるぜとか、どや顔で言われたって、まったく踊れないんですからね!?」
パーティーといえばダンス。一般人が踊れると思わないでくださいよ!?
もちろんいつかはと身構えてもいたけれど、まだまだダンスの習得までは至っていない。
「安心しとけ。これはダンスパーティーというより社交パーティーだな。あの伯爵は自慢のコレクションを他人に見せびらかすのが大好きなんだよ」
「伯爵? コレクション?」
わざわざ口に出されたその表現に疑問を覚える。
伯爵……貴族?
コレクション……珍しいもの?
それはきっと、美しくて綺麗な物。そう、たとえば――
「まさか、人魚ですか? 伯爵のお屋敷に人魚がいるのですか!?」
「確証はないが、その伯爵というのが以前話していた男だ。探ってみる価値はあるぜ。そいつは俺が人魚を保護すると提案した時、誰よりも熱心に反対してくれたからな」
もっともらしいことを口にしてはしていたが、あまりにも食い下がったという。そこで旦那様が追いかけていたところ、取引の疑惑が浮上したらしい。
「もちろん口では知らないと否定しているがな。探りを入れるためにも偶然を装って顔を合わせてきた。そしたらちょうど屋敷で夜会を開くと聞いてな。招待されてやったぜ」
伯爵は美術品や宝石といった美しい物を集めるのが好きらしく、かねてより屋敷で行われるパーティーに呼ばれていた旦那様は一度顔を出して以来、自慢話にうんざりしたのだとか。けれど今回は自ら偶然を装い、褒めたくもない品を褒めまくってきてくれたそうだ。