18歳で父になった。
俺の言葉を聞いた柚子は少し寂しそうな声で言葉を発した。
「紫苑くんは昔から優しいようで優しくないよね。
心がないって言うか、感情が欠落してる」
そう言って前を向く柚子の言葉は俺の胸に刺さった。
そんなこと自分でもわかってる。
昔から双子の璃苑は何かと感受性が豊かで好きな人の話題、ムカつくこと、嬉しいこと、欲しいもの、やりたいことが明確で
わがままだって言ってた。
でも反対に俺は小さい時からなんだって良くて、他の人がそう言うならそうだと思って、恋愛だってわからなくて。
そんなのがおかしいと気づいてからは、もしも父さんだったら、璃苑だったら、母さんだったらどうするかを当て嵌めて総合的な視点から行動するようになった。
自分の感情が欠落してる、おかしいのだと気づかれたくなかったから。
「私のことも本当はどうでもよかったくせに、何となく付き合って結婚して別れた。
相手ミスったよね〜お互い」
そんなことはない。
どうでもよかったことなんて無い。
恋愛に疎くとも、自分が誰を好きなのかくらいわかる。
でもきっと、柚子にそう言わせてしまうということは、伝えきれてなかったのだろう。
「紫苑くんに知りたいと思って近づいて付き合ったけど何も満たされなかった」
そう言って笑う柚子はどこか寂しそうで
でも俺のかける言葉はなくて。
また車内に沈黙が落ちてしまったのだった。