My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
彼女はパっと彼から視線を外すと、天井付近を仲良く飛んでいたグレイスとブゥを見上げ、赤くなった顔を誤魔化すように口を開いた。
「この子たち、本当に仲がいいのね! こうしてると、まるで綿毛が飛んでるみたい」
「!?」
皆が一斉に息を呑むのがわかった。リディがそれに気づいてびくっと肩を震わせた。
「な、なに? どうしたの?」
グリスノートがガタンっと音を立てて立ち上がり、ラグを睨み据えた。
「このモンスターの生息地はどこだ」
考えたことは皆一緒だったみたいだ。
――歌詞にあった《綿毛》とは、ブゥの仲間たちのことなのではないか。
だとしたら、出会ったばかりのこの2匹がこんなに仲が良いのも納得がいく。
(姿かたちが似ているからじゃなくて、元々仲の良い種族同士なのかもしれない!)
「こいつは……」
ラグはそう言いかけた口を一旦噤み、もう一度ゆっくりと開いた。
「レーネの近くにあった森の中だ」