My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
 その皆がオルタードさんに向かって口々に叫ぶ。

「長のお蔭で俺たちにもこうして居場所が出来た!」
「全部、長のお蔭だ!」
「何遍感謝しても足りねぇっ」
「でも俺たちはもう、」
「うるせぇ!! いっぺんに騒ぐんじゃねぇ!」

 オルタードさんが鋭く一喝すると、しんとその場は静まり返った。

「オルタード」

 その高い声音に視線を向ける。皆に囲まれるようにしてリディが立っていた。

「私たちみんな、オルタードには本当に感謝してる。でも私たちは、カノンたちみたいにここに迷い込んだ人たちに、ここは港町イディルだって胸を張って言えるようになりたい」

(リディ……)

 彼女が思いつめた表情で訴える。

「誰かを傷つけて盗んだもので後ろめたく思いながら生活するのは、もうやめにしたいの」
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