My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5

 あれから何度か元の姿に戻っているのだが、少年の姿のほうが何かと都合が良いだろうとセリーンに言われ、戻る度ぶつぶつ文句を口にしながらも小さな風を起こしたりして再び小さくなっている。
 だから先ほどからずっと不機嫌マックス状態なのだ。

 セリーンはというと、そんなラグを前に実に幸せそうだ。流石にいつものように飛びついたりはしないが、手が自由だったらどうだったかわからない。

 なんにしても先ほどまでの張り詰めた雰囲気がなくなりいつもの彼女らしくなって私はとてもほっとしていた。自分の行動がラグの役に立つかもしれないと気付いて彼女もほっとしたのかもしれない。

「奴らの拠点だ。そこまで距離はないと思うが、流石に腹が減ってきたな」
「お前、アジトに着いたらどうするつもりなんだ」

 そんなセリーンにラグがぞんざいに訊ねた。
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