はやく俺のモノになればいいのに
「話してみなよ。なにがあったの?」
「……うん」


机に置いたスクールバッグでゆらゆらと揺れる、黒ごま猫のキーホルダー。


それを見つめながら椅子を引き、着席すると、隣の席の実柑に昨日の出来事をざっくりと話した。


もちろん私が語ったのは

突然現れたお兄さんに黒ごまをゲットしてもらったことだ。


「ええ! それめっちゃときめくね!?」
「こ、声がおおきいよ実柑!」


ほんとこの子は、恋バナになるとヒートアップするんだから。

って、別に、これは恋バナではない。


「たしかに少女漫画なら確実に恋しそうなシチュエーションだなって思うよ」
「しなかったの?」
「するわけないでしょ。たった一度。それも一瞬しか会ったことない相手だよ」
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